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2017年5月10日 (水)

絶食青年 

人生は冥土までの暇潰し
 
最近入手した『サンカとともに 大地に生きる』の第10章、「断食」を興味深く読んだ。以下、同章の一部を引用しておこう。

 食うことを罪悪とするとき、食は取れないのである。ついに食を断つほかないのであった。食はなかったというより食えなかったのである。一日一日してついに二十一日の食を断ったのであった。三日や五日はこれまでも時々食を断った事があるが、二十日を超えた断食はその時が初めてであった。
食欲の強いことはこれまでいろいろの機会に物語った。しかし本当に食欲の真味を会得したのは今回が初めであるような気もするのであった。一日二日はさほどにもないが、早や三日にもなると耐え得られないのである。朝を迎えるとお茶漬の声すらどこからともなく聞こえて来るような気がする。咽喉がゴロゴロ鳴って来る。口には唾液が充ちて来る。食欲というものは単に口だけで求めるものではない。胃や腸のみで求めるのでもない。咽喉も肌も指先にも求めるようにさえ思われるのである。鮨や握り飯を食うには箸を用いずして指でつまんで食う方がさらに美味さを感ずるのであるが、これは指先の食欲を満たすからであろう。私はむしろ身体が食欲の塊であるようにさえ感じられた。そうして十四五日もすると不思議にも食欲を感じない。胃腸は麻痺したのである。私はその時麻痺を真実と誤認したのであった。人問は時々麻痺を真実と誤認する陥し穴に陥るものである。私は、吾世に勝てりと思った。この分で行くならば昔の仙人のように霞を吸って生きて行ける。と飛んでもない世界へと堕ちて行くのである。
私はその時久米の仙人を聯想するのであった。久米の仙人は通力を得て天上したという。雲の上を悠々と逍遥していたところが雲の隙間からちらと見えた美しい女性の脛に蹉いて雲を踏みはずして顚落したと伝えられている。私はかつて大和の国の久米寺でその顚落の場所と云うのを見たが、この所が女難の場所であったのかと思い興深く感じたことがある。仙人は雲の上を走っている者が多い。地から足を離した時そのままが顚落である。私はその久米の仙人に等しきことを食の上に経験したのである。霧や霞を吸って生きて行ける筈であった仙人は恥かしいことに一つの団子を見て顚落したのであった。ちょうど断食二十一日目のことであった。本願堂の御本尊の忌日にでも当たるのであろう。どこの老婆か知らないが、湯気の立っている美味しそうな団子を持って来たのである。しばらく麻痺していた食欲はにわかに起った。美味しそうな団子からは湯気がぽつぽつと立っている。見るから食いたくなるのだと眼を閉じても駄目である。眼を閉ざせばかえって幾百とも知れぬ団子が瞼のうちに拡がる。見ても食いたい。見なくても食いたい。食欲の本能はいずれにもかかわらないで私を圧倒した。
こうしたときに私の内面には相反する二大本能が闘争する。「お前は食うことが罪悪と知り、その罪を超えんとして食を断ったのではないか。それに何と弱いお前ではないか、団子くらいにフラフラするとは何事だ。強くなれ強くなれ」と云う。すると反対にまた「食いたいものは食ってよいではないか、早く食え早く食え」と云う。しかし私はフト気付いた時は、すでに一つの団子が舌の上に乗せられていたのである。私はいつ指で掴んで口に入れたのか、その意識すら無かった。所詮は食わずにおれぬ自分なのである。
食うことが罪悪と知りながらも、食わずにおれぬ、それが人間の姿であろう。自分に食えと持って来られたのであれば格別である。しかも御本尊に供えられたものすら横取りして食ってしまった自分である。生を得んとして得ず、死を得んとして得ず、と悲歎された古聖もあった。もっともっと練らねばならぬと心を静めようとしてもそれすら得られない。「定水を凝らすといえども色浪しきりに動く」のである。私の断食はこれで終ったのであった。

『サンカとともに 大地に生きる』p.89~90


清水精一師の21日間の断食というのも凄いが、世の中、上には上がいるものだ。ナント、二倍近くの40日間もの断食に成功した人物がいる。ぽんぽこ笑店の絶食青年である。絶食青年については、以下の記事が詳しい。
飯山一郎:本日より3日間の絶食

17051001
草むしりに精を出す絶食青年

ちなみに、絶食青年は●絶食青年のブログ●というブログを立ち上げており、また、「絶食笑店はにわ☆のストア」という自前の店も、アマゾンにオープンしている。

明治の絶食青年が清水精一師なら、ぽんぽこ笑店の青年こそ平成の絶食青年、いや、絶食青年中の絶食青年だ。青年よ、荒野をめざす前に、絶食をめざせ!

17051002

『追記』
『サンカとともに 大地に生きる』に登場するスケベーな仙人については、以下の拙稿を参照のこと。
夢の蕭白(しょうはく)

ここで、スケベーの意味が分からない読者は、以下の拙稿を参照のこと。
skivvy

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