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2017年5月18日 (木)

清水精一と山窩 

人生は冥土までの暇潰し
前稿で「清水精一の人生」を書いた。清水の歩みを大雑把だが、一応は掴んでいただけたのではと思う。本稿「清水精一と山窩」では、山窩と三年半にわたって生活をともにした清水が、具体的に何を山窩から学んだのか、換言すれば、山窩が清水の物の見方・考え方に、どのような影響をもたらしたかについて簡単に述べておきたい。

最初に、『サンカとともに 大地に生きる』(清水精一 河出書房新社)の解説で、磯川全次氏が述べているように、同書で山窩と行動をともにしたことについて述べているのは、第12章の「乞食(行乞)」、第13章の「乞食の群れにて」、そして第14章の「青天人」の三つの章である。「第12~14章が一番面白かった」と、同書を再読した磯川氏が述べていたが、同感である。関心のある読者は同書に直接目を通していただくとして、三角寛といった、山窩との生活を体験していない者たちに多く見受けられる、外から見た表層的な山窩像とは異なり、清水のそれは山窩の内奥に食い込み、しかも三年半も山窩との生活を通じて得た、本物の山窩像である点、三角らの山窩像とは大きく違うのである。

ここで、人によっては山窩は異民族であると主張している者がいる。日本人と中国人の場合であれば、確かに互いに異民族同士であり、言葉も違えば、物の見方・考え方も大きく異なってくるのは、当然の話である。では、清水は山窩を異民族の集団と考えていたのだろうかという点については、『サンカとともに 大地に生きる』に以下のような記述があるので紹介したい。

山窩は民族的なものか、境遇的なものかと言うと、私は民族的なものでなくて、境遇的なものであると思うが、甚だしく民族的の色彩が濃厚なものである。これを分類すると種々あるが、大別し二大系統とすることが出来る。一つは山を根拠として来たもの、即ち山林生活者をしたもので、今一つは河海の辺りを根拠としたものである。
『サンカとともに 大地に生きる』p.137


つまり、清水は日本人も山窩も同じ民族だと言っているわけで、その点は亀さんも基本的に同感である。そして、日本人と山窩を分けているものこそ、境遇の違いという清水の主張に同意するものである。ここで、「境遇の違い」と亀さんは書いたが、この境遇の違いについては、実際に山窩との生活を実体験した者でなければ、真に山窩の心を理解することは不可能だと、同書を紐解きながら亀さんは直感的に思った。そのあたりを明瞭に述べた清水の言葉を以下に引用しておこう。

すべてのものには、頭で考えて解ることと、行じて初めて解ることとの二つがあると思う。水の冷たさはいかに頭脳で考えても解らぬことだ。それはどうしても飲むという行を通さねば解らないことである。真実解らないものまでも解らないままに概念知として無理矢理に詰め込む。たださえ整理せねばならぬ頭脳へ、整理を待つ暇もなく詰め込まねばならぬ。ついには耐えきれなくなって神経衰弱症などに陥るのである。そこに私は無理があると思う。熱い、冷たいという根本の観念さえしっかりとしておけばそれからはものに触れ、行を通じて真に解ってゆけると思う。余計なものは害にこそなれ、吾らを生かすに何ら役立つべきものはない。
『サンカとともに 大地に生きる』p.38


これは正に、不立文字の真髄を述べた行である。換言すれば、山窩と実際に生活をともにすることで、初めて山窩というものが〝身体で解る〟のだと思うし、文字で伝えるのは不可能とすら思えるのだ。しかし、そう書いてしまっては身も蓋もないので、同書に登場する一人の人物を簡単に描写しておくことで、山窩の実像の一端を見ていただこう。その人物とは、清水が属していた山窩集団の仲間の一人で、「紀州」と呼ばれていた老人である。第14章「青天人」に登場している。その紀州翁を師と仰ぎ、親とも思っていた清水が学んだものは、紀州の生き様そのものであった。特に亀さんが紀州の生き様で印象に残ったものが、天と地についての考え方である。長くなるが、以下の引用に目を通していただきたい。

紀州は決して小屋の中では寝ない。いつも大空を戴いて土の上へそのまま寝る。そしてこの大きな空を味わえ。土の温かいことを味得せよなどと云ってくれた。ある朝である。冬の始めの頃であったが、例の如く裸身のままで土の上へごろりと寝ているのである。そして蓆(むしろ)を被っていた。蓆は霜さえ積んでいる。私は驚いて、紀州冷たいことはないかい、と心配すると、寝たまま蓆をまくして、大地が冷たいなどと言うているものにどうして大地の温かみが解るかい。この頃の奴らは言葉ではいろいろ言うが、土の温かみを知らないで天地間の温かみが解るものでない。天地の温かみの解らないものは人間の温かみをも知れたものでない、と呵々大笑しているのであった。私はその言葉に打たれた。大地の温かみ、天地の広い恵みを味わい得たものには小さい小屋などは問題でないのであろう。

いつも紀州は帽子も笠も冠らない。そして夏の炎天下でもそのままでいる。紀州暑いだろうと云うと、お天道さんと仲よしじゃと笑っている。太陽と仲よしでいる境涯などは実に大きいものだ。大空を帽子に、大地を布団に敷く。天地そのままを自分のものにしている紀州であった。

『サンカとともに 大地に生きる』p.191


大空を帽子に、大地を布団に敷く」という紀州翁の生活…、実は2年前の亀さんは最悪の事態を想定し、万一の場合に備えて『冒険手帳』という本を入手している。その後、神計らいか、最悪の事態を迎えることなく今日に至っているわけだが、仮に今日明日にも最悪の事態を迎えることになったとしても大丈夫なように、サバイバルしていくための心の準備はできており、いつでも必要な行動に移せるように、サバイバルに必要な物は常時手許に置いてある。なお、『冒険手帳』については以下で紹介していたので、関心のある読者は参照していただきたい。
飯山一郎の“新日本建国神話”

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その後に至ってフクイチを取り巻く状況に変化が生じ、プーチン大統領と安倍首相がフクイチ事故後の処理に乗り出すということが明らかになった。よって、現在は静かに成り行きを見守っているところだが、実際にロシアと日本がフクイチ事故処理に乗り出すまで、日本が持つかどうかという一抹の不安が残る。

次回は最終稿の「清水精一に学ぶ」をお届けする予定。

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