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2014年1月26日 (日)

福島原発事故から間もなく3年 爪痕残る“戦場”、収束の道のり長く険しく

福島原発事故から間もなく3年 爪痕残る“戦場”、収束の道のり長く険しく

カナロコ by 神奈川新聞 1月26日(日)13時0分配信

  国際的な事故評価尺度で最悪の「レベル7」とされた福島第1原発事故から間もなく3年。事故の爪痕が残る現場では、汚染水対策や廃炉へ向けた懸命な作業が 続く。巨額の国費を投じてもなお、難題が立ちはだかり、収束への道のりは長く、険しい。東京電力が日本記者クラブ加盟の報道機関に公開した“戦場”の今を 報告する。

     1月16日早朝、記者を乗せたバスは福島県いわき市を出発し、国道6号を北上。原則立ち入りが制限され、人がいないことが日常となった区域を進む。人の営みを断ち切る原子力災害の「静かな惨状」を目の当たりにし、第1原発に到着した。

 入念な身分確認と金属探知機によるチェックを受けて構内に入る。取材は免震重要棟の一部を除き車内からに制限され、撮影は「核物質防護の観点」(東電)から代表者に限られた。

 マスク、手袋、靴カバーを装着して足を踏み入れた免震重要棟で、白のつなぎの防護服を着た作業員とすれ違う。フーっと吐く長い息に疲労感が感じ取れた。

 東電によると、第1原発の作業員は1日当たり3千~4千人。彼らの1カ月当たりの平均被ばく量は約1ミリシーベルトという。東電幹部は、国基準(年間上 限50ミリシーベルト)はクリアされているとの見解を示す一方、「作業環境の向上が不可欠」とも説明した。ちなみに一般人の年間被ばく限度量は1ミリシー ベルトだ。



 東京ドームおよそ75個分に当たる広大な構内。汚染水の貯蔵タンクが所狭しと並ぶ山側の光景は、まさに「タンク牧場」だ。炉心溶融(メルトダウン)を起 こした1~3号機では1日当たり計400トンの注水による冷却を継続。これに地下水も加わり、毎日約800トンの汚染水が発生している。

 セシウムの除去設備などを通しておよそ半分は再び冷却に使われているが、東電はタンク容量を2015年度末までに現在の倍の80万トンに増やす計画。漏えいがあったボルト締めから、溶接型への切り替えも急ピッチで進めている。

 1~4号機を見渡せる海側には、津波で押し流された車が横倒しのまま放置され、港湾内の放射性物質が海へ拡散しないよう沖に設置されたシルトフェンスも遠望できた。地下に鋼管を打ち込む海側の遮水壁の工事も進んでいた。

 国や東電の汚染水対策の基本は「取り除く、近づけない、漏らさない」。国費を投入して14年度中の運用を目指す凍土遮水壁の設置などと合わせ、資源エネルギー庁、東電とも「予防的、重層的な対策を講じていく」と口をそろえる。

 だが、裏を返せば解決の決め手を見いだせていない手探り状態とも言え、安倍晋三首相の「コントロールされている」との発言に心もとなさが募った。

 建屋を見上げると「心をひとつにがんばろう!福島」の横断幕。周辺の放射線量は毎時600マイクロシーベルトを超え、取材団が持ち込んだ線量計のアラーム音が一斉に鳴った。

 廃炉に向け、昨年11月に使用済み燃料プールからの燃料取り出し作業が始まった4号機。16日までに1533体のうち176体が近くの共用プールに移送された。第1原発の小野明所長は「廃炉へ向けた第一歩が踏み出せた」。年内に取り出しを終える予定だ。

 一方で、放射線量が高く人が近づくことすらできない1~3号機は、内部の把握が進まず「非常に条件が悪く、見通しが立たない状況」(東電)。4号機に次 いで燃料取り出しを始める予定の3号機の建屋上部には遠隔操作のクレーンのアームが伸び、がれきの撤去や除染作業が進んでいた。

 電源喪失につながった送電用鉄塔の倒壊現場を通過し、約40分の視察を終えた。入退管理施設で測定した被ばく量は10マイクロシーベルトだった。

 ネズミの接触による停電や汚染水問題など、次々に問題が起きるたびに対処を強いられる第1原発は、巨体を持て余す力士のように映った。体全体に目配りができず、放射線という見えない病に侵され、負傷部位すら特定できず、対処が遅れる悪循環に陥っている。

 第1原発安定化センターの高橋毅所長は設計段階で「人力で対処せざるを得ない事態に追い込まれることを想定した造りにはなっていなかった」と認める。こ れまでの道のりを振り返った東電の小森明生フェローは「悪戦苦闘の3年。廃炉を確実に進めるため、一歩も二歩も前進していくタイミングだ」と強調した。

 政府・東電の廃炉工程表では、建屋の解体を終え、事故収束に至る目途は30~40年後とされている。

◆「汚染水の元を絶つ努力を」 衆院議員・椎名毅氏

 福島第1原発事故の原因究明のため、国会に設置された事故調査委員会事務局で現地調査などに当たった結いの党の椎名毅衆院議員(比例南関東)は、この3年の収束作業の進捗(しんちょく)について「汚染水問題が大きく影を落とした」と分析した。

 汚染水問題は事故発生直後から指摘されていたが、「当時は緊急事態が優先され、対応が後手に回った」。その上で「水を入れて冷やす限り、汚染水は発生す る。漏らさない対策はもちろんだが、空冷式の冷却方法を確立するなど、汚染水の元を絶つ取り組みに力を入れるべき」とした。

 対策の切り札とされる凍土遮水壁については、「必要な対策だと思うが、コストに照らし、効果や維持管理がどこまでできるか、見えない部分もある」と指摘した。

 今後に向け、「諸外国のエネルギー、原発メーカーの担当者と話すと、『もっと協力できることがある』と言う。人材確保、技術の蓄積、収束作業の正確な発信を含め、共同して対処することが、作業の進展や福島の教訓を共有することにつながるはず」と提言している。

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