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2012年12月 6日 (木)

もう見られない、あの笑顔…

飯山一郎HP

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2012/12/06(木)2 もう見られない、あの笑顔…

 

やすらかに…男らしく美しく優しい笑顔であった。これが日本人!そういう顔であった。十八代目中村勘三郎。57歳没。
なんということだ。いったい、どういうことなのだ。しんじられない。しんじたくない!

五代目中村勘九郎の頃の子供顔も良かった。鷲より9歳下の勘九郎ちゃん、やんちゃな笑顔が可愛かった。この可愛さは、鷲の心のなかで、いつしか尊敬の念に変わっていった。日本の伝統芸能・歌舞伎にかける彼の情熱と姿勢、その意気込みには魅せられどおしだった。

あくまでも日本の伝統を頑と守り、かつ尊重しながら、そこに斬新な新しい風を吹き込んでゆく…。その風は常に新鮮で爽やかだった。

大坂の下町に生きた侠客の人生物語『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』では、終幕間際、なんと!歌舞伎の舞台の後面がゆるゆると開いて、外の世界へとつながり、勘三郎が扮する団七と中村橋之助が扮する徳兵衛が歌舞伎の舞台から飛び出して、大都会に向かって猛スピードで逃げ去って行く!
この舞台の外の空間を使う大胆きわまりない発想と演出には大喝采と歓声がやまなかった。

日本の伝統と歴史と文化を重んじながら、常に新しい発想と技術を創造してゆく…。これが、じつは、日本文化の真髄にある骨子なのだが、勘三郎は日本文化の 真髄を完璧に会得し、それを体現しながら演技する歌舞伎役者だった。鷲は彼を尊敬しながら、日本の文化と伝統、そして日本人としての生き方を学ばせても らった…。とにかく凄い日本人だった。素晴らしい日本人だった。

それなのに、何を取り違えたのか憎き病魔が彼を襲った。最初に発表された病名は「特発性両側性感音難聴」。おそらく現代医学では治らない疾病だ。(いや、現代医学が治せる病気は皆無に近い!)それを医者は治そうとした。執拗に治そうとした。検査と薬漬けにして…。16時間にも及ぶ手術を強行して…。
もーEー!愚痴は止めよう。
どんなに泣いて悔しがっても、あの男らしく美しく温かく優しい笑顔と…、
世界中から魅入られた国宝級の演技、あの斬新で創造的な演出は…、
もう戻ってはこないのだから…。
さようなら。やすらかにおねむりください。>勘三郎さん

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